素材の性質をはかる尺度に「陰陽論」というのがあります。
例えば、根菜類は下に向かって伸びる求心力で成長し、体を引き締め、暖める”陽性”です。
葉菜は上に向かって伸びる遠心力で成長し、体をゆるめ、冷やす”陰性”です。
重ね煮では、葉っぱを下に、根っこを上に重ねます。
これに火を加えることで、上に向かおうとする力と下に向かおうとする力が働き、それが、お互いに影響しあって、素材の持つ本来の甘みや旨味を引き出すことが出来るのです。重ね煮の鍋の中では、人間の考えや力ははるかに及ばない、自然界のバランスと調和のエネルギーが働いているのです。
とはいえ、難しい理屈を考えるよりも「野菜さん。ありがとう!おいしくなってね。」と気持ちを込めながら、料理することが「重ね煮」をおいしく仕上げるコツのようです。